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ともきよ

Vol.13 新旧モーター入替。

Vol.13 新旧モーター入替。

こんにちは。

設計担当の友清(ともきよ)です。

今回の「技術コラム」はサーボモーター入替の話です。

 

 

今回もプッシャー式連続焼結炉のお話になります。

プッシャー炉では、サイクルタイムを変更しても炉内にトレー押込の定時送りを実現するため

可変速可能なモーターを使用しております。

サーボモーターでも制御出来るのですが、1980~90年代初頭のPLCでは

サーボモーターまで制御させるととても高額なものとなっていました。

 

そこで従来は機械式無段変速機と呼ばれる

可変速が可能なメカ変速機を使用しておりました。

この変速機はテーパー型の遊星コーンを使用。

その円周差を利用して可変速させる仕組みです。

電動機本体は常に商用電源の50or60Hzで

回転しているため定出力特性となり低速でも安定した押込動作が可能でした。         

 

機械式無段変速機

 

ですが、この方式ではオイル交換を怠ると遊星コーンが摩耗。

押込速度が変化するためPLC内の計算でサイクルタイムを守ろうと

ハンチングを繰り返し、最終的には交換までの流れになっておりました。

 

前回同様、「連続炉が途中停止すると連続炉ではなくなる」との思いで

「他に良いもの」と考え、PLC回路設計して頂いていた協力会社と相談して、

A社E製品が比較的に費用増にならずに機械式無段変速機から置き換え出来ることが判明。

A社E製品に20年前くらいから徐々に置き換えを実施しました。

結果は機械式無段変速機に勝るとも劣らない定時制を発揮。

お客様からも喜ばれた記憶があります。

 

A社E製品

 

採用当時は新型でしたが、ついにE製品も生産終了となってしまいました。

しかし、熱処理炉の寿命は長いものでは20年以上のものもあり、

初期に導入したサーボモーターがちらほらと動かなくなり始めてきました。

 

このような電子機器は突然止まってしまうことが多くE製品を使用していたお客様と相談。

予防保全の観点から故障していなくてもサーボモーターを交換して頂くことが決定。

今回の炉は同一メーカーのPLCとサーボモーターを採用して頂きました。

E製品からの交換の為、サイズ感は約2/3。モーター部分は半分以下となり

同一容量でもここまで進化していることを実感させられおります。

 

長期使用を見越して新型サーボとしましたが、本盤は旧世代の旧型PLCで制御。

今回のサーボモーターはコントロールが難しいことが解り

新型PLCも同時に採用して頂きました。

 

   

サーボ制御用PLCと新型サーボ

 

モーターサイズが違うので変換台下駄を製作してモーターはサクッと交換。

新旧PLC間はEthernet通信で行い定時制御をさせております。

今回は完全にPLC通信にて制御出来ている為モーター負荷率もフィートバック可能。

脱線前の負荷率上昇もキャッチ出来るので未然に脱線事故は防げると考えております。

 

このお話は新型コロナ前のことで、

当時はサーボといえど1~2ヶ月程度で入手が可能でした。

コロナ禍でのロックダウンの影響で各メーカー工場操業停止。

今年に入り更に各種電子、電気部品が長納期となっております。

最近の炉は自動化、省力化が進みこれらの機器が入手出来なくなると

現在稼働しているこれらの機器を搭載した熱処理炉も停止せざるを得ない状況となります。

他業種の方も同様で今の長納期が更に状況悪化と考えられるので

とても憂鬱な毎日を過ごしております。

少しでも早く新型コロナからすべての業態の復帰と正常化を願っている今日この頃です。